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コトノハヤ徒然

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01.19 Wed

魂ひとーつ。

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「豪く寒そうですねェ。ちょいと暖まっていきませんかぃ?」
 
 人の気もない冬の社。
 吃驚するほど薄着で焚き火に当たる女は、人懐こい口調で話しかけてきた。
 
 真っ暗闇の中、彼方此方を正体不明の炎が漂っている。
 女の周りを漂う橙の炎が何処か不気味で、「其れは何か」と問うて見ると、

「此れですか?見ての通り火ですよ、旦那」

 くすくすと可笑しそうに女は笑う。

「この時期ね、行き倒れる人間のまァ多い事。其処の草の陰に倒れてる人間様から、ちょいと拝借してきたンですよ」

 其の火の玉を「拝借」された人間が、どうなっているのか。
 薄寒くなって、聞くことは出来なかったが。