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コトノハヤ徒然

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01.25 Tue

黒こげ

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「……」
「……」
「おい、これ…」
「……」

 三分少々の沈黙の後。
 青年は思い切りしかめ面になり、黒焦げになったフライパンとその中身を、親の敵でも見るような目で睨んだ。

「これ…何処をどうしたらこうなるんだ?」
「ええとだね。自分、これを火にかけて。油を投じて野菜三種ほどを炒めようとしたわけなんだけど」
「…で、それが一体どうしてこんな…大惨事に」

 大惨事。
 他に形容すべき言葉があるかどうか。
 中身が食用に不適であるのは一見して分かるのだが。
 頑丈なはずのステンレスのフライパンでさえも二度と使えない状態に追い込まれているのは、滅多に見られる光景ではない。
 一歩間違えば具材どころか家財諸共に黒こげだったのではないか、というありがたくない想像もしてみたりする。

 …実にありがたくない。

「どうやったらこんな状態になるんだか…」

 むしろ、たかが野菜炒めで、ここまでの惨状を演出できるのは、ある種才能かと思わんばかりな訳で。
 彼女の「料理」によって、炊事場と、フライパンと、モヤシと、人参と、キャベツを消し炭に失った彼が得たものは唯一。

「お前、もう二度と料理すんな。レンジ以外使うな。断じて」
 その教訓だけだったとかなんとか。