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コトノハヤ徒然

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10.28 Sun

続々SSS。

TRPG系のSSSがたまってきたので。
雨の日にまつわるのを続きに。


【コントラスト】

一点の隙間もなく敷き詰められた黒を、あっさりと、それでいて劇的に切り裂く白。

一筋の光が、一瞬のうちに凶暴な本性を剥き出しにして、大地につかみかかる。
潮の香りが色濃い空間を駆け抜けるのは、耳をつんざく轟音。

奇妙な静寂がややあって、やがて屋根を叩く大量の雨粒が、まるで波のように押し寄せてきた。

薄手のシャツを、つかむ手。
白い指先は小刻みに震えている。
シャツをとらえた手は、次に、腕をしっかりとつかむ。
母親にしがみつく子どものような、必死さ。

恐慌と言って余るほどの激情に駆り立てる訳はなんだったか。
決して離れようとしない、それだけははっきりしていて。

――窓を叩く雨粒。
嵐の夜は更けていく。

見失わないように。
無くさないように。

まるで一人の人であるかのように、寄り添う二つの影。



【嵐の渦】

数十枚、いや数百枚?
――大量の草葉が、眼前をバサバサと横切っていった。
その間、わずかまばたき2つばかり。

潮の香りはいよいよ濃い。
海に面したこの街の、縁の縁まで波が押し寄せて来ている。

そう、これは――。

「嵐だ。」

そう一人ごちる青年、艶やかな緑の髪も、風に乱暴になぶられている。

蒼と朱と灰の絵の具を、適当にぶちまけた空。
雲と一緒に泳ぐ海鳥が、真横に流されていく、もはや空で溺れるていである。

「嵐ってすごいなあ。」

感慨深げに呟いた所に、水の礫が強襲してきた。
海をひっくり返したような凄まじい雨、大地は白く煙る。
青年は――。

「わ。すごいこれ。すごい」

――楽しそうだ。

風雨の螺旋が家々の屋根壁問わずあちらこちらを叩きまくる。
嵐が去るまで、人に出来ることは、じっと待って空を伺い風を聞くことぐらいだ。

――ゴィン!
といい音がして、飛んできた木片が青年の頭を直撃する。

…パタリと倒れ。
すぐにムクリと起き上がり。

「…そろそろ中に入ろう」流石に渋い顔で頭をさすった。
嵐は、まだまだ吹き荒れそうだ。

――そんな港町の風景。